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兵庫県三田市の超繁盛菓子店「パティシエ エス コヤマ」オーナーパティシエ小山進氏による初のショコラ技術書。小山氏は2011年、パリのサロン・デュ・ショコラに初出展し、外国人最優秀ショコラティエ賞を受賞。またフランス国内外のベスト150を投票で決めるC.C.C.(クラブ・デ・クロクール・ド・ショコラ)の最高クラスを外国人として初受賞。日本人として例のない快挙を成し遂げている、いま注目のパティシエ。本書は小山氏が一粒一粒に込めた世界観とレシピの全容を解き明かす。
レシピの難易度:★★★
始まりは「産地を訪ねる」。
著者とカメラマンが自ら原産地マダガスカルに旅し、果実であるカカオがショコラになるまでの道のりをたどる。カカオ豆の生育する環境、品種を観察し、豆の発酵プロセスから複雑な香りの一部が生まれること、焙煎から流動体になるまでの工程を追い、「農作物としてのカカオ」「発酵食品としてのカカオ」の側面を知ることができる。チョコレートの専門技術書であるが、このマダガスカルでの現地レポートをはじめ、それぞれのボンボンショコラやチョコレートを使った菓子を発想したストーリー、チョコレートづくりや菓子職人としての哲学が詰まっており、菓子を愛する方ならば誰にでもおすすめしたい。
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小山氏が使う素材の多くは、氏が産地におもむいて、栽培や製造の方法はもちろん、手がける人びとが何を大事につくっているのかを実地に感じとり、菓子に取り入れている。昨年パリで大好評を得た「DNA Kyoto Japon」と呼ぶアソートセットでは酒粕、大徳寺納豆、醤油など日本の素材を大胆に採り入れたボンボンショコラを組み合わせたが、これらも酒粕なら酒蔵、醤油なら醤油メーカーを訪れて吟味している。書名「ショコラ・ジャポネ」つまり日本のショコラという意味は、単に和素材とかエキゾチックさを狙うということではなく、日本人の京都生まれの職人としての氏が、自身のDNAの中にあるおいしさ、味覚を表現した結果として生まれたということを示している。
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- [担当編集者より]
- 「自分がショコラをつくろうという時にも本から学んだけれど、充分に理解が得られなかった」という小山氏は、本書で技術のわかりやすい表現に挑戦している。とくにショコラ製造に欠かせない「乳化」の技術やガナッシュの基礎と実践、成形については、ふんだんな連続写真を用いて詳しく解説。通常の書籍編集ではほぼ省略するような途中の過程(チョコレートの状態など)を掲載し、失敗しないショコラづくりのための道しるべとしている。世界的に評価の高い小山氏のショコラの技術とレシピがすべて公開されていることが本書の価値であり、とくに後進の方には役立てていただきたい1冊だ。
印象的なビジュアルの写真は、写真家・石丸直人氏によるもの。小さなボンボンショコラに含まれた素材のイメージを、独自の世界に写し出している。石丸氏は広告写真を主として活動するカメラマンで、書籍として1冊を担当するのは初めて、さらに製菓の製造手順(プロセス)写真を撮るのも初の挑戦。しかし素晴らしい感性で、ショコラ製造という一瞬のドラマを切り取っている。